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                 文と写真 宮崎市 前田幹雄

 アカウミガメ産卵状況の調査地の宮崎市白浜海岸に5月下旬、シロチドリ(全長17.5㌢)の番がいました。海辺のレジャーなどで数が減っていると言われているだけに繁殖を期待

したのですがその後姿を見かけません。残念ですが2年連続で繁殖ゼロになったようです。

 今年も県内でアカウミガメの調査が始まりました。野鳥の会会員の長谷勝之さんと私

の熟年組は空港北と白浜を毎週1回調査しています。2回目の調査2025年5月31日、白浜

海岸を調査していた時シロチドリの番を砂浜で見つけました。

 シロチドリは最初はおじさんたちを警戒していましたが、危害を加えないと判断した

らしく、なんと羽を後ろに伸ばしたりしてとてもリラックスしていました。近くにいた

もう一羽も羽繕いしていました。こんな姿を見ると、繁殖するのではないかと期待が膨ら

みました。

 その後、6週間続けて調査していますが、シロチドリの姿はなく、鳴き声も聞かれません。白浜海岸では3年前までは数カ所で産卵、ヒナが誕生していました。今年はうまく

いくと期待していたのですが残念な結果になりました。

 シロチドリの繁殖状況は白浜海岸に限らず、全国でも厳しいと言われています。繁殖場所となる砂浜の減少や、生息地でのマリンレジャーの活発化、ペットの接近、トビ、カラスなどによるヒナの捕食などが繁殖失敗の要因としてあげられています。全国ではシロチドリは絶滅危惧Ⅱ類に、県内では準絶滅危惧種に指定されています。おじさんたちは、今後もシロ

チドリを見守っていくつもりです。

おじさん達の様子をうかがうシロチドリ
おじさん達の様子をうかがうシロチドリ
安心して伸びをしてくれました。
安心して伸びをしてくれました。

          アカウミガメの産卵調査をしている白浜海岸

1.日 時 令和7年(2025年) 7月6日(日曜日) 天候:晴れ

2.参加者 28名

3. コメント

  連日熱中症警戒アラートが発表される中、28名の参加者が集まりました。毎年この時

 期は暑さのせいなのか鳥の姿は少なくなります。案の定、藤棚周辺でも小鳥の姿が少なく

 声もあまり聞こえてきません。しかし、スズメの幼鳥が目の前に現れて人を怖がらずに楽

 しませてくれました。

  東神苑に進むとカワラヒワが梢に止まって盛んに鳴いていました。観察していると、も

 う一羽が隣に止まりました。どうやらオスがメスを呼び込んだようです。しばらくお見合

 いした後、2羽で飛び去って行きましたが、うまくいったでしょうか。また、ここにもス

 ズメの幼鳥が現れて皆を楽しませてくれました。

  古民家園では、ニイニイゼミの合唱の中、飛び回るウスバキトンボやレモンの木の葉に

 産卵するナガサキアゲハを観察するとともに、カワラヒワの声と姿を楽しみました。

  中間鳥合わせの後、ホトトギスの托卵の話やツバメのねぐら入り観察会のお知らせ、ま

 た、スズメバチに刺された際にポイズンリムーバーが非常に有効だったことなどの説明が

 ありました。

  今回は暑さが心配でしたが、早朝で気温も上がる前だったこともあり、ゆっくりコース

 を回ることができました。鳥の数は少なかったものの、にぎやかな探鳥会となりました。

 なお、今年もクマゼミが鳴きました。


 4.今回出会えた野鳥 16種

   ウグイス、カワラヒワ、キジバト、コゲラ、シジュウカラ、スズメ、ツバメ、ドバト

  (カワラバト)、ハクセキレイ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ヒヨドリ、ムクド

  リ、メジロ、ヤマガラ、リュウキュウサンショウクイ

         

開会時の説明   
開会時の説明   
梢のカワラヒワ
梢のカワラヒワ
カワラヒワ観察中
カワラヒワ観察中
スズメ幼鳥
スズメ幼鳥

              📷文と写真 宮崎市 前田幹雄さん

 日本野鳥の会の九州・沖縄ブロック大会が5月10、11日に佐賀市のホテルアマンディで

開催されました。参加者は総勢100名ほどで5年ぶりの開催でした。宮崎県支部からは中村豊支部長含め4人が参加しました。

 1日目の10日は主催者あいさつのあと、佐賀県支部が2022年から取り組んでいるコウノトリ、コアジサシの保護運動について宮原明幸支部長が講演。コウノトリはカラスの被害が

多発し2023年に2羽、2024年に1羽巣立っただけとのこと。今年(2025)も3羽のヒナがふ化しましたが、カラスに襲われてうまくいきませんでしたとのお話をされました。

 また、海岸に近い浄水場跡地を2022年からコアジサシの繁殖地として借りて整備。ネコによる被害が出たため周囲をネット囲むなどの対策をとっているそうです。ここでもカラスによる被害が多発して2024年は47羽しか巣立ちしなかったとの報告でした。宮原支部長は「コウノトリ、コアジサシともカラス対策がうまくいきません。これが一番の悩みです」と話していました。コウノトリとコアジサシの保護活動を積極的に進めている佐賀県支部の取り組みに驚きました。

 2日目はラムサール条約に指定されている東よか干潟で午前7時半からシギ、チドリの観察会がありました。広い干潟は満潮になっており、ダイゼンやハマシギ、アオアシシギ、チュウシャクシギ、オグロシギなどが水際でゆっくり休んでいました。参加者は望遠鏡などで観察、婚姻色になった鮮やかな姿に感激していました。

 時折り天敵のハヤブサが低空で通過するたびにシギ、チドリは一斉に飛び上がり、空を覆いつくすような黒い塊ができ、塊が右や左に波打つように移動。その数はとても数え切れない程でした。渡り鳥にとって干潟の大切さを思い知らされる光景でした。

 シギ、チドリに関心がある人は、春と秋の渡りの季節にこの干潟で観察されることをお勧めします。圧倒的なスケールに感動されると思います。


       📷オグロシギやダイゼン、ハマシギなど。東よか干潟

         宮崎では見られないスケールの大きな干潟です。

        📷婚姻色になったチュウシャクシギやダイゼンなど。


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