📷文と写真 前田 幹雄さん
我々の日常生活で、最も身近な野鳥と言えばスズメですね。最近、このスズメが近い将来、絶滅危惧種になる可能性があるというショッキングなニュースを目にしました。
「そんなはずはない!」「まだまだたくさんいるよ!」などと会員の皆さんはきっと首をかしげられると思います。
このニュースは環境省と日本自然保護協会が10月1日に発表したもので、国内各地で
動植物の生息状況を定点観察した結果、里山に生息する鳥類の15%、チョウ類の33%で個体数が、年3.5%という異常なペースで減っているという内容でした。これからこのような減少ペースが長期間続けば、スズメなどの身近な鳥やチョウが環境省レッドリストの絶滅危惧種の判定基準を満たす可能性があると指摘していました。
この調査は全国1,000カ所での生態系の調査(2003年度から2022年度)の結果をまとめたものです。特にスズメは年3.6%ペースで減っていました。環境省によると温暖化と管理されなくなった里山が増え、生息環境が悪くなったことが背景にあると指摘していました。
我が家がある団地では粘土瓦の屋根が数多くあり、スズメは毎年子育てしています。
繁殖時期には、あちこちからヒナの鳴き声が聞かれます。それだけに今回の絶滅危惧種になる可能性があるというニュースは驚きでした。
これを受けてテレビのキー局が東京のスズメを取り上げていました。都心部ではスズメをまったく見かけず、郊外では見ることができたという内容でした。この中で専門家は「都会では子育てする環境がなく、えさとなる昆虫も少ない」と語っていました。県内でも過疎化が進み、集落や里山が減ってきています。人のいるところで繁殖するスズメの動向は心配になります。身近なスズメが絶滅危惧種にならないことを願うばかりです。
📷日本瓦の隙間で子育てするスズメ(撮影:前田幹雄)
📷郊外のスズメ (撮影:田辺英樹)