「野鳥とのふれあいで宮崎の自然を学ぶ」をテーマに南九州大学が主催し、日本野鳥の会宮崎県支部協力で実施している地域連帯公開講座が、都城市の南九州大学で9月28日に実施されました。座学の講座には47人が参加。サシバについての調査研究や南九州大学の学生の報告などがありました。「サシバのルートを解明する苦労が分かった」「大学にやってきた野鳥の話がとても面白かった」など参加者に好評でした。
南九州大学の関面剛康副学長が「公開講座は今年で6年目になります。宮崎の豊かな自然や野鳥を多く知ってもらいたい」と挨拶。
公開講座はまず中村豊さん=日本野鳥の会副支部長=が猛禽サシバの南下ルートなどについて講演。1979(昭和54)年から県内80カ所で会員が調査。それらを継続して行った結果
延岡北浦から日向に上陸、山沿いに南下して金御岳に向かい、鹿児島県の佐多岬に向かうことを解明した経緯を説明。継続して調査することの大切さを強調していました。
このほか県鳥のコシジロヤマドリの調査、鳥インフルエンザ関連でカモ調査なども行っていると述べました。
参加者から「携帯電話や発信機のない時代に行った調査が実証されたのには驚きです」「県内の南下ルートを突き止めたのはすごいですね」「これからも頑張ってほしい」などと話していました。
また、南九州大学環境園芸学部生物研究会のメンバーが、キャンパスや周辺で見られる野鳥を紹介。夏鳥のアカショウビンが今年の9月3日、構内の茂みにいたのをメンバーが発見。近づいても逃げないため、農林振興局に電話して保護。片方の羽を傷めていたそうです。また海辺にいるイソヒヨドリが都城の市街地でも繁殖。イソヒヨドリの名前の由来などを報告しました。都城周辺の、身近な野鳥の話題に参加者も熱心に聞いていました。
このあと「初心者のための身近な猛禽類の識別」「鳥の鳴声に関する説明と鑑賞」「野鳥からみた世界ほか」の体験コーナーもありました。
鳥の鳴き声については日本野鳥の会宮崎県支部の田辺英樹会員が解説。野鳥の気管支の入口にある発声器官の構造や、囀りと地鳴きの違いを説明。「ウグイスのホーホケキョは囀りで、縄張り宣言やメスに求愛するための鳴き方。繁殖期間中、長期にわたり囀るためにノド付近にある羽が抜けて地肌が露出するほど」「最近の研究でシジュウカラには言葉があり、天敵のタカが来たときはヒーヒーと鳴く。この鳴き声は他のヤマガラやエナガ、ヒガラなども聞き分け、警戒する」などの説明があり、野鳥が〃言葉〃を操ることに参加者は驚いていました。
また、初心者のための身近な猛禽類の識別コーナーでは「トビやサシバ、ハヤブサ、チョウゲンボウ」などの識別のポイントを県支部の岩切久事務局長が分かりやすく解説。
「野鳥から見た世界ほか」では同大の生物調査研究会の学生が野鳥のパネルなどを展示、説明していました。
第2回は10月5日、金御岳で開催されるサシバ観察会(県支部主催)に参加して、南を目指して飛ぶサシバの渡りを観察することになっています。(写真はサシバルートの調査に
ついて説明する中村豊副支部長)
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