top of page
事務局

白浜海岸のシロチドリ 今年は繁殖せず

文と写真 宮崎市 前田幹雄

 宮崎市の白浜海岸で繁殖していたシロチドリ(全長17㌢)が、今年は姿が見えません。

昨年は2番(つがい)いましたが、今季は姿が見られませんでした。オートキャンプ場の利用者が増え、海岸や砂浜で遊ぶ人が多くなったのが要因の一つかもしれません。

 白浜海岸では毎年、5月から9月まで毎週1回アカウミガメの産卵調査を行っています。

5年前から調査中に、シロチドリが繁殖しているのに気付き見守ってきました。シロチドリは砂浜に貝殻や小石を集めて巣を作り、3個の卵を産みます。卵の表面は、砂浜に溶け込むようにデザインされていて親鳥がいないと、どこに巣があるか分かりません。

 昨年(2023年)は2番いましたが、ヒナが巣立ったかまでは確認できませんでした。2022、21年は2カ所で産卵、ふ化を確認しました。2020年には、波状岩にいた親鳥からヒナ2羽が出てきてえさをついばむ光景を確認しました。2019年にはアカウミガメの産卵地近くに巣があり、調査に行くと親鳥が巣から遠ざけようと負傷しているように見せかける擬傷行動に出会いました。

 今季も5月からアカウミガメの調査をしています。カメの上陸・産卵が増えていて喜ばしいのですが、調査中によく見かけたシロチドリの姿が見えなくなったのは気がかりです。

最近は白浜オートキャンプ場の利用客が多く、海岸で遊ぶ人も増えるなど生息環境の悪化が影響しているかも知れません。

 シロチドリの繁殖がうまくいかないケースが全国でも問題になっており、絶滅危惧Ⅱ類に指定、宮崎県では准絶滅危惧種となっています。夏場のレジャーなどと折り合いをつけるのが難しい状況となり、砂浜で繁殖するシロチドリにとって一段と厳しい繁殖シーズンとなっています。

         📷1.炎天下の砂浜で抱卵するシロチドリ。(2022年7月7日)

         📷2.砂浜で羽を傷めたように儗傷行為する場面(2019年6月18日)


閲覧数:116回0件のコメント

最新記事

すべて表示

コメント


bottom of page