文と写真 宮崎市 千代延好晃さん
令和5年7月4日付のオモシロ鳥情報コーナーで「ヤマガラは、他の鳥が寄り付かない毒性のあるシキミの実が好物なのか、猛毒に対する解毒の仕組みを持っているのか・・」と紹介しました。以来、市民の森を散策する度にシキミの実の完熟度に注目していますがなかなか熟してきません。また、ヤマガラの寄り付きも確認できていませんでした。
その後8月26日、市民の森西園(藤棚付近)でヤマガラが、未だ緑色の木の実を運んできて盛んに突いて食べる場面に遭遇しました。もしかしてシキミの実ではと双眼鏡で確認すると、思った通りシキミの実でした。観察を続けると、一心不乱に青い実を突いて中から白いもの(未だ熟していない種の中の胚など柔らかい部分?)を引っ張り出して美味しそうに食べていました(画像1・2)。シキミの実は、秋になると完熟し八角形の袋果が弾け、きれいに配列された8個の種子が飛び出すとのことです。(※画像3~許可を得て日本新薬山科植物資料館HPから引用)。
当日私が観察したヤマガラは弾けた種子を運んできたのではなく、まだ塾していない緑色の実を食べる様子を撮影できたのはとてもラッキーでした。シキミの実は「毒物及び劇物指定令」(第2条39項)により劇物指定がなされています。この毒性のある果実が完熟するまで待ちきれないヤマガラの行動を考えると、やはりシキミの実が大好物であるのかもしれません。
今後は、ヤマガラが持つ猛毒を解毒できる仕組みの解明について、鳥類に関する専門機関の調査研究に注目したいと思います。ちなみに今回、私が観察したヤマガラがどこからシキミの実を運んできたのかは分かりませんでした。というのは、市民の森にある万葉集歌碑の傍らのシキミの実の中には緑色の若い実は皆無だったからです。
添付画像1 シキミを突くヤマガラ
画像2 白いものを取り出して食べるヤマガラ
画像3 完熟前のシキミの袋果内の状況(8角形の星形に種子が配列している)
(日本新薬山科植物資料館HPから引用・許可済み)
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